11月は、男性が自分の体を見直す月です。
世界では「Movember(モーベンバー)」と
呼ばれ、男性の健康を考えるきっかけにする運動が
続いています。
とはいえ、「どこを、
どう見ればいいのか分からない」という方も
多いのではないでしょうか。
この記事では、30年以上の臨床経験をもつ看護師の
立場から、40代からの男性が
自分でできるセルフチェックを
6つにしぼってご紹介します。
それぞれに、厚生労働省や学会が示している目安と、
受診を考えたいサインをまとめました。
健診の結果を見返すときの
ポイントや、受診の目安もあわせて
お伝えします。
できるところから、気楽に確かめてみてください。
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11月の「Movember」と、40代から体を見直す理由

Movemberは、
「口ひげ(Moustache)」と
「11月(November)」を
合わせた言葉です。
11月の1か月間、口ひげを伸ばしたり体を
動かしたりしながら、
男性の健康について話すきっかけをつくる世界的な
運動で、前立腺がん・精巣がん・メンタルヘルスと
自殺予防を主なテーマにしています
(Movember公式サイト)。
日本ではまだ知る人が少ないものの、「男性は
自分の体の変化を後回しにしがち」
という問題意識は、看護の現場でもよく
感じることです。
40代は「症状が出る前」に確かめる時期
40代になると、国の制度としても健診の内容が
変わります。
40〜74歳の方は、生活習慣病の予防を目的に、
メタボリックシンドロームに着目した「特定健診」
の対象になります(厚生労働省)。
大腸がん検診や肺がん検診も、
40歳から毎年受けることがすすめられています。
高血圧や内臓脂肪の増え方、尿の出方の変化などは、
はっきりした症状がないまま進むことが
少なくありません。
だからこそ、「調子が悪くなってから」ではなく、
「今の自分を知っておく」ためのセルフチェックが
役に立ちます。
この記事で見る6つのチェック
- チェック1:排尿の変化(勢い・回数・夜中のトイレ)
- チェック2:家庭での血圧
- チェック3:体重と腹囲
- チェック4:睡眠の時間と休めた感じ
- チェック5:気分の落ち込み
- チェック6:健診・がん検診の受け方
どれも、特別な道具がなくても
始められるものばかりです。
全部を一度にやる必要はありません。
気になる項目から読んでみてください。
チェック1:排尿の変化(勢い・回数・夜中のトイレ)
「尿の勢いが弱くなった」「出るまでに
時間がかかる」「トイレの回数が増えた」。
こうした変化は、年齢のせいだと思って、
そのままにされやすい症状です。
日本泌尿器科学会によると、男性で尿が
出にくくなる原因として最も多いのは
前立腺肥大症で、70歳代では10人に1人以上が
前立腺肥大症と診断されるとされています
(日本泌尿器科学会)。
前立腺は膀胱の出口で尿道を囲んでいる臓器で、
大きくなると尿道を圧迫し、出にくさだけでなく、
頻尿や残尿感の原因にもなります。
自分で確かめたいこと
- 尿の勢いが弱い、途中で途切れる
- 出始めるまでに時間がかかる、いきまないと出ない
- 出し終わっても、まだ残っている感じがする
- 昼間のトイレが近くなった
- 夜中に、トイレのために起きる
夜中のトイレは「排尿日誌」で原因を探る
学会の説明では、夜間に排尿のために
1回以上起きなければならない状態を「夜間頻尿」
といい、年齢とともに
増えるとされています(日本泌尿器科学会)。
原因は前立腺だけではなく、尿の量そのものが
多い場合(糖尿病、高血圧、心臓や腎臓の病気、
睡眠時無呼吸、寝る前の水分のとりすぎなど)や、
眠りが浅いことも関係します。
原因を見分ける手がかりになるのが、
起きてから翌朝まで、排尿した時刻と量を
記録する「排尿日誌」です。
目盛りのついたコップなどで量を測り、2〜3日分を
書きとめて受診すると、医師に状況が
伝わりやすくなります。
また学会は、尿が出にくい男性には、血液検査で
PSA(前立腺特異抗原)を測り、
前立腺がんがないか確かめることもすすめています。
前立腺肥大症の初期症状については、
でくわしく解説しています。
チェック2:家庭で血圧を測る

高血圧は、ほとんど症状が出ないまま、血管に
負担をかけ続けます。
健診のときだけ測っていると、ふだんの血圧の高さを
見逃してしまうことがあります。
日本高血圧学会は、家庭で血圧を
測ることをすすめており、家庭血圧で上が
135以上、または下が85以上を
高血圧の目安としています(日本高血圧学会「家庭で
血圧を測定しましょう」)。
同じ資料では、家庭血圧が
135/85以上の状態は、脳卒中や
心筋梗塞にかかる率を2〜3倍に増やすと
説明されています。
正しい測り方
- 腕に巻く「上腕式」の血圧計を使う
- 朝は、起きて1時間以内・朝食の前・薬を飲む前に測る
- 夜は、寝る直前に測る
- トイレを済ませ、1〜2分いすに座ってから測る
- 1回につき2回測り、その平均をとる
- 週に5日以上測った記録を、受診のときに見せる
病院では正常なのに家庭では高い「仮面高血圧」は、
家で測らないと見つかりません。
学会の資料では、仮面高血圧の危険度は、ずっと
血圧が高い状態と同じか、それ以上とされています。
反対に、病院で緊張して高くなる
「白衣高血圧」の方も、将来に備えて
定期的に確かめておくと安心です。
血圧計を選ぶときは、手首式ではなく、腕に
巻く上腕式を目安にしてください。
数字は1回だけで判断せず、数日分の平均で
見ることが大切です。
チェック3:体重と腹囲(おなか周り)
体重は同じでも、おなか周りだけが増えている、
ということがあります。
これは、内臓のまわりに
脂肪がたまっているサインかもしれません。
厚生労働省の健康情報サイトでは、おへその高さで
測った腹囲が男性85cm以上を、
内臓脂肪がたまっている目安としています
(e-ヘルスネット「ウエスト周囲径」)。
さらに、血圧・血糖・脂質のうち2つ以上が基準を
外れると、メタボリックシンドロームと
診断されます(e-ヘルスネット)。
腹囲の測り方
- 立った姿勢で、軽く息をはいたときに測る
- メジャーはおへその高さで、床と平行に巻く
- おなかに力を入れたり、引っこめたりしない
- 月に1回、同じ時間帯に測って変化を見る
体重も、朝起きてトイレを済ませた後など、
同じ条件で測ると変化が分かりやすくなります。
「この1年で腹囲が数センチ増えた」と気づけたら、
それだけでも食事や運動を
見直すきっかけになります。
内臓脂肪と生活習慣の関係は、
でも解説しています。
チェック4:睡眠の時間と「休めた感じ」

眠りは、血圧や体重、気分の安定にも関わる、
体の土台です。
厚生労働省の「健康づくりのための
睡眠ガイド2023」では、成人は1日に少なくとも
6時間以上の睡眠を確保するよう
努めることがすすめられています(厚生労働省)。
同じガイドでは、時間だけでなく、朝起きたときに
「よく休めた」と感じられるかどうか(睡眠休養感)
も大切な目安とされています。
自分で確かめたいこと
- 平日の睡眠が、6時間を下回る日が多い
- 朝起きても、休めた感じがしない
- 大きないびきや、寝ている間に呼吸が止まっていると言われた
- 昼間に、強い眠気がある
いびきや呼吸の停止は、「閉塞性睡眠時無呼吸」
のサインのことがあります。
睡眠ガイドでは、睡眠時無呼吸が
高血圧や脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などの
きっかけにもなるとされています。
家族やパートナーにいびきを指摘されたら、内科や
呼吸器内科、睡眠外来で相談してみてください。
眠りの整え方は、
にまとめています。
チェック5:気分の落ち込みを見過ごさない
Movemberが大きなテーマにしているのが、
男性のメンタルヘルスです。
男性は「弱音を吐いてはいけない」と
思いがちで、心の不調を、疲れや年齢の
せいにしてしまうことがあります。
厚生労働省の「こころの耳」では、
楽しかったことが楽しめない、
憂うつな気分が続くといった状態に加えて、
眠りの変化が、うつ病のサインとして
挙げられています
(こころの耳)。
自分で確かめたいこと
- 以前は楽しめていたことが、楽しめない
- 何をしていても、憂うつな気分が続く
- 寝つくまでに30分以上かかる、夜中に何度も目が覚める
- いつもより早く目が覚めて、悪い考えが浮かぶ
- ぐっすり眠った感じがしない
こころの耳では、こうした状態が2週間以上続くと、
うつ病と考えられるとしています。
当てはまるものが続いているときは、かかりつけ医や
心療内科・精神科に相談してみてください。
すぐに誰かと話したいときは、
厚生労働省が案内している
「こころの健康相談統一ダイヤル」
(0570-064-556)などの
電話相談もあります(まもろうよ こころ)。
男性ホルモンの低下が、気分の落ち込みに
関わることもあります。
気になる方は、
もあわせて読んでみてください。
チェック6:健診とがん検診を「受けて、見返す」
セルフチェックは大切ですが、血液や
体の中のことは、検査でしか分かりません。
40代からは、職場や市町村の健診を、
毎年欠かさず受けることがいちばんの
土台になります。
特定健診は、勤め先の健康保険や国民健康保険などが
実施していて、40〜74歳の加入者が対象です。
国がすすめる、男性が受けたいがん検診
国立がん研究センターの「がん情報サービス」では、
国がすすめるがん検診として、次のものを
挙げています(がん情報サービス)。
- 大腸がん検診:40歳以上・1年に1回(問診と便潜血検査)
- 肺がん検診:40歳以上・1年に1回(問診と胸部X線検査)
- 胃がん検診:50歳以上・2年に1回(胃部X線検査または胃内視鏡検査。X線検査は当分の間、40歳以上・年1回も可)
前立腺がんのPSA検査は、この国の検診の一覧には
入っていません。
市町村によっては独自に
行っているところもあるので、
お住まいの地域の案内を確かめてみてください。
排尿の変化があるときは、検診を待たずに泌尿器科で
相談するのが近道です。
結果は「去年と比べて」見返す
健診の結果は、「異常なし」かどうかだけでなく、
去年と比べてどう変わったかを
見るのがおすすめです。
血圧、腹囲、血糖(HbA1c)、中性脂肪、
肝臓の数値などが、少しずつ上がっていないかを
確かめてみてください。
「要精密検査」や「要受診」と書かれていたら、
症状がなくても、必ず医療機関を受診しましょう。
こんなときは、医療機関へ
セルフチェックで気になることがあったら、
次の目安を参考にしてください。
早めに受診したいとき
- 尿の出にくさや夜中のトイレで、生活に困っている(泌尿器科)
- 家庭血圧が、数日の平均で135/85以上になっている(内科)
- 健診で「要精密検査」「要受診」と言われた(健診結果に書かれた診療科)
- 大きないびきや、昼間の強い眠気がある(内科・呼吸器内科・睡眠外来)
- 気分の落ち込みや眠れない状態が、2週間以上続いている(かかりつけ医・心療内科・精神科)
すぐに受診したいとき
- 尿がまったく出ない、下腹が張って苦しい
- 尿に血が混じる、排尿の症状とともに熱がある
- 胸の痛み、息苦しさ、急な手足のしびれや言葉の出にくさがある
- 死にたい、消えてしまいたいという気持ちが強い
こうしたときは様子を見ずに、医療機関や救急、
相談窓口に連絡してください。
勃起の変化も、血管の状態を
知る手がかりになることがあります。気になる方は
年代別の原因と受診の目安も参考にしてください。
まとめ
11月のMovemberは、男性が自分の体と心を
見直すきっかけの月です。
40代からは、排尿の変化、家庭血圧、腹囲、睡眠、
気分の落ち込み、健診とがん検診の6つを、
ときどき確かめてみてください。
どれも症状が出る前に気づけることが多く、
早く気づくほど、選べる対処も増えていきます。
看護の現場では、「もっと早く相談すればよかった」
という男性の声を、何度も聞いてきました。
気になることがあれば、ひとりで抱えずに、
医療機関や身近な人に話してみてください。
まずは今年の健診の結果を、
去年と並べて見返すところから
始めてみませんか。
参考

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